第7章

 代表チームのオフィスのドアは固く閉ざされ、中から激しい物音が響いた。

 総監督は手にしたデータボードを机に叩きつけた。

「渡井伝治! 選抜でのミスで五輪の枠を逃しただけじゃ飽き足らず、この二日間の練習は何だ? 心ここにあらずで、基礎のトリプルジャンプすら転倒するとは。お前、滑る気があるのか!」

 頭ごなしの叱責に対し、渡井伝治は顔面蒼白で、目の下には濃い隈を二つぶら下げていた。

 彼はうつむいたまま、規律や技術に関する非難など聞こえていないかのようだった。

「監督、林原友衣はどこですか?」

 総監督は呆れ果て、彼の鼻先を指差して怒鳴った。

「よくもぬけぬけと聞けたものだな! ...

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