第7章

莉佳視点

金曜日の朝。

階段を駆け上がってくる母の足音で目が覚めた。ノックもなしに部屋に飛び込んできた母の手には新聞が握られており、それは小刻みに震えていた。

「莉佳。莉佳、これ見た?」

私は身を起こし、母から新聞を受け取った。『青葉新聞』。私たちの小さな町で発行されている週刊紙だ。一面には、太く黒い文字でこんな見出しが躍っていた。

「地元高校教諭、推薦書類不正疑惑で停職処分」

その下には、少し小さな文字でこう続いている。

「武田亮太氏、青葉高等学校生徒の推薦書類を町外の生徒へ流用した疑いで調査中」

記事に目を通すうち、胃の腑がすとんと落ちるような感覚に襲われた。す...

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