第157話

ルシアン視点

ジャスパーのパンチは不意を突いてきた。俺はよろめき、閉まりかけたエレベーターに再び倒れ込みそうになる。間違いなく鼻の骨を折られた。鼻を押さえながら、俺はエレベーターから一歩踏み出した。血がシャツに滴り落ちる。

ジャスパーが俺に腹を立てる理由はいくつもあったので、今回はいったい何をしでかしたのか、すぐには分からなかった。

「一体どういうつもりだ、ジャスパー?」俺は問い詰めた。俺の鼻は人狼の治癒能力のおかげで、すでに治り始めていたが、それでも一分ほどはひどく痛んだ。ジャスパーはまったく手加減していなかった。

「どういうつもりだ、だと? こっちのセリフだ!」奴は怒鳴った。

「どういう...

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