第5章

宮川雄次の顔色は最悪だった。

劇的にやつれているとか、ボロボロになっているわけではない。高価な仕事用のシャツを着こなし、髪も完璧にセットされ、雑誌から抜け出してきたような洗練された佇まいはそのままだ。

だが、その目は虚ろだった。口元には、以前はなかったはずの深い皺が刻まれている。

同情したくなる自分もいた。五年間も誰かを愛し続けていれば、そうなるのも無理はない。スイッチを切るように感情をオフにはできないのだ。たとえ、そうする必要がある時でさえ。

「遥」私が車に近づくと、彼が一歩踏み出してきた。「頼む。五分だけでいいんだ」

私は疲れていた。肉体労働の一日を終え、数ヶ月ぶりに...

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