第8章

この家はこぢんまりとしていたが、申し分なかった。寝室が二つに浴室が一つ、それに朝日が差し込む窓のあるキッチン。そして、裏庭。

それが、この家を買う決め手だった。その裏庭こそが。

木村大輔は車庫にいた。そこは今や彼の木工作業場となっており、道具類や作りかけの作品、そしておがくずの匂いで満たされている。彼が何かを研磨している音が聞こえてきた。そのリズミカルな響きは、ある種の瞑想のようだった。

街中にある私の事務所も、経営は順調そのものだ。仕事が溢れかえっているので、二人のパートアシスタントに手伝ってもらっている。母は毎週水曜日に夕食を食べにやってくる。手作りの焼き菓子と、私の庭に対...

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