第101章

それぞれ持ち場に戻った後、高橋桜は真剣に仕事に取り組んだ。

階段を上る前、二人は明日おばあさんを病院に連れて行くことを約束し、夜帰ったらおばあさんに伝えることにしたが、互いに暗黙の了解で離婚のことには触れなかった。

前回は意地になって、二人で朝早くから市役所に行ってしまったせいで、おばあさんの手術はスムーズに進まず、むしろ妨げになってしまった。

今回、高橋桜も焦らなくなり、おばあさんが手術を終えて回復が順調になってから市役所へ離婚届を出しに行っても同じだと思うことにした。

それに、予期せぬ事態を防ぐためでもある。

彼女自身はそう考えていたし、佐藤和也も恐らく同じことを考えているだろ...

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