第11章

佐藤和也が帰った後、高橋桜はしばらくぼんやりと座っていて、それから仕事を続けた。

ある事柄は彼女が自ら選んだもので、一人で耐えるしかない。

携帯が鳴り、高橋桜は画面を見た。川崎拓海からの電話だった。

彼女は気持ちを落ち着かせてから、電話に出た。

「何かあった?」

「桜、木村グループの副総秘書から連絡あった?」

高橋桜はようやく探していたメールを見つけ、マウスでクリックしながら頷いた。「あったわ、どうしたの?」

「対応が必要な業務は私に回してくれ。代わりに処理するから」

その言葉に、高橋桜の動きが止まり、明らかに疑問を感じた。

「え?」

「優子から聞いたんだ。具合が悪いって...

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