第110章

佐藤お母さんの身からは、爽やかなレモンの香りが漂っていた。

抱きしめた瞬間、高橋桜は心身ともにリラックスして、思わず強く抱き返した。

年上の女性には、いつも特別な親しみを感じてしまう。

佐藤お母さんもそれを感じ取ったのか、思わず高橋桜の鼻先を指で軽くつついた。「お母さんが恋しかった?」

その「お母さん」という呼びかけに、高橋桜はしばらく戸惑い、やっと我に返ってうなずいた。

「うん、とても会いたかった」

「まったく、この娘ったら。私たちも君たちに会いたかったのよ」そう言うと、佐藤お母さんは高橋桜の頬をつまんだ。あまりにも肌が美しいので、思わずもう二回つまみ、それから振り返って佐藤お...

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