第12章

本来山本双葉はまだ高橋桜の反応があまりにも平静すぎて、おかしいと思っていた。

しかし美咲の名前を聞いた途端、彼女はまるで凍りついたように、言葉を失ってしまった。

しばらくして、やっと反応した。

「わ、私てっきり彼女はもう戻ってこないと思ってたわ」

しばらくの間、二人とも言葉を交わさなかった。

高橋家が以前破産する前は、高橋桜の親友として、山本双葉も彼女と一緒に上流社会の輪の中で長い間過ごしてきた。当然、川崎美咲が佐藤和也を救ったことが世間で話題になっていたことも知っていた。

二人は男前と美女で、本来なら良いことだった。

しかし高橋桜の親友として、山本双葉は友人のことを心配してい...

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