第123章

彼女が携帯を渡したとき、佐藤和也もその内容を見た。

高橋桜は彼の瞳孔が縮むのをはっきりと見た。おそらく川崎美咲が飛び出したことに緊張しているのだろう。

彼女は顔を背け、身に着けているコートを脱ごうとしたが、そのとき佐藤和也の声が聞こえた。

「ちょっと出かけてくる」

結果はすでに予想していたものの、彼自身の口から聞くと、やはり気持ちが違った。

高橋桜は小さく「うん」と答え、立ち上がって彼のコートを脱いで返そうとした。

佐藤和也の眼差しが変わり、彼女の手を押さえた。

「いい、着ていて」

それを聞いて、高橋桜は一瞬動きを止めた。

「でも、外寒いよ」

「大丈夫」佐藤和也の声はやや...

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