第20章

病院に着いてから、山本双葉はあたりを見回し、妙な表情で小声で彼女に尋ねた。

「どうして大きな病院に行かないの?小さな病院だとあなたの体に何か悪影響があるんじゃない?」

「都合が悪いの」高橋桜はさらりと答えた。

大きな病院には佐藤おばあさんと知り合いの人が働いている。彼女はあの日、自分が妊娠していることを考えずに検査を受けに行ってしまったのだ。

今回は処置をしに来たのだから、当然あの病院には行けない。

万が一見つかって...佐藤おばあさんに伝えられたら。

だから安全を期して、高橋桜はこの小さな病院で処置を受けるつもりだった。

山本双葉が彼女の代わりに受付で手続きを済ませ、まず検査...

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