第21章

木村美子の言葉がまだ終わらないうちに、彼女の後ろの診察室から突然見覚えのあるシルエットが出てきた。

「お母さん」

少女のあどけない声が響くと同時に、木村美子の得意げで意地悪な表情が一変した。

高橋桜はその声の方を見た。

一目で分かった。木村美子の娘、小林恵子だ。

彼女は検査結果の用紙を手に持ち、顔色も唇の色も青白く、状態はあまり良くないようだった。彼女が反応する間もなく、さっきまで高橋桜を嘲笑っていた木村美子はすぐに振り返って歩み寄り、娘の小林恵子を連れ去った。

彼女の慌ただしい足音から、高橋桜は既に結果を察していた。

しかし高橋桜は常に他人のプライベートに首を突っ込むつもりは...

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