第37章

なるほど、確かにそうね。彼女が手に入れたデータには確かに変化があった。これは彼女の感覚が間違っていなかったことを裏付けているわね。

高橋桜は「うん」と小さく返事をするだけで、それ以上は何も言わず、データを取り戻して丁寧に畳んでしまった。

片付け終わると、何かを思い出したように佐藤和也に向かって言った。

「実は、私、おばあちゃんが手術を怖がっているように感じたの。午後、おばあちゃんに手術が早まるって言うべきじゃなかったと思う」

その言葉に、佐藤和也は一瞬、動きを止めた。

「そうか?」

「うん」

彼が彼女の方を見ると、真剣そのものの表情が浮かんでいた。突然、彼は気づいた。彼女が療養...

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