第38章

「うん、休戦」

高橋桜は軽く頷いた。

「前みたいに戻る」

前みたいに?

佐藤和也の心は彼女のこの一言で躍り上がった。自分でも気づかないうちに、彼はどもってしまった。

「そ、それって……」

高橋桜は彼を一瞥すると、視線を落として真剣に口を開いた。

「帰り道でよく考えたの。おばあちゃんの様子は今のところ安定してるみたいだし、細かな変化も問題になるほどじゃないと思う。でも手術まであと半月しかないわ。こんな時に私たちが喧嘩してておばあちゃんに気づかれたら、影響が出るかもしれない」

ここまで聞いて、佐藤和也は何かを悟ったような気がした。

「つまり君は……」

「まだ分からない?今は大...

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