第46章

「彼ができるなら……」

川崎美咲は思わず彼に要求をしようとしたが、言葉が唇まで来たところで飲み込んだ。

今この時に言うべきではない。冷静にならなければ。

そこで彼女は話題を変え、佐藤おばあさんの病状について尋ねることにした。

「帰国してから、ずっとおばあさまをお見舞いする機会がなくて。もし可能なら、数日中に様子を見に行きたいんですが、よろしいでしょうか?」

佐藤和也は眉をひそめ、彼女の申し出を断った。

「もう少し待ってくれないか。おばあちゃんの病状に影響するのが心配なんだ」

川崎美咲の唇の笑みがわずかに薄くなった。やはりこういう結果か。なぜだか分からないが、佐藤おばあさんは彼女...

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