第49章

川崎拓海は高橋桜のオフィスにかなり長い時間滞在してから出てきた。

出てきたとき、ちょうど事務所を出た佐藤和也と川崎美咲に出くわした。

川崎拓海の姿を見た途端、佐藤和也の眼差しは一瞬厳しさを増し、全身から冷たい気配を漂わせながら、不機嫌そうに彼を見つめていた。

彼と一緒に出てきた川崎美咲はすぐにその様子を感じ取った。

彼女は遠くの高橋桜のオフィスから出てきた川崎拓海を見て、考え深げに口を開いた。

「川崎さんって桜ちゃんとすごく仲良さそうですね。この前も二人で食事に行ってたの覚えてます」

それを聞いて、佐藤和也は眉をひそめ、薄い唇を一文字に引き締めたまま、何も答えなかった。

しかし...

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