第53章

「それとも、彼に対して自信がないの?」

高橋桜は唇を緩やかに上げ、淡々と笑いながら言った。

「私の今の状況、私自身が心配してないのに、あなたが何を心配するの?」

彼女がまだそこに立ったままでいるのを見て、高橋桜はしかたなく言った。

「安心して。あと数日でおばあちゃんの手術だから、もう少し我慢して。すぐにあなたの望みは叶うわ。おばあちゃんの手術が成功したら、私はここを離れるし、五年間は戻ってこないから」

彼女にそう言われて、川崎美咲は徐々に冷静さを取り戻した。

そうだ、あと数日だけ。今がどんなに辛くても、数日後にはすべてが終わる。

彼女と佐藤和也の間の茶番劇にも終止符が打たれる。...

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