第62章

佐藤和也はやはりすぐに母親の優しい言葉に丸め込まれてしまった。

「わかったよ。今夜は俺と桜でおばあちゃんを家に連れて帰るから、お前たちはもう療養院に行かなくていい。家に帰りなさい」

「おばあちゃんを家に連れて帰るの?」

この知らせを聞いて、佐藤のお母さんは少し驚いたようだった。続けて言う。

「桜ちゃんもそばにいるの?」

佐藤和也はいるかいないか答えず、ただ視線をこちらに向け、目配せで示した。

どうせスピーカーフォンにしているから、彼女自身が聞こえるはずだ。

そこで高橋桜は佐藤のお母さんに声をかけた。

「お母さん」

それを聞いて、佐藤のお母さんはすぐに柔らかく笑った。

「あ...

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