第69章

「そうよ、おばあちゃん」

高橋桜はおばあちゃんに疑われないよう、会話を続けるしかなかった。

「私、小さい頃から魚が苦手で...子供の時、何か美味しいものだと思って一度食べてみたら、ひどく吐いてしまって。だから今日匂いを嗅いだ瞬間、すぐにトラウマが蘇ってしまったんです」

その言葉を聞いて、佐藤おばあちゃんの思案げな表情はやはり和らいだ。

小さい頃に食べて吐いた?それなら大人になってもトラウマがあるのは、確かに普通のことかもしれない。

それでもおばあちゃんは心配そうに言った。

「本当に大丈夫なの?やっぱり病院で診てもらった方が...」

「大丈夫ですよ、おばあちゃん。今はも...

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