第71章

「佐藤和也!!」

その場に彼がいるなんて!?

高橋桜は思わず悲鳴を上げそうになった。

仕事の処理をしに行くんじゃなかったの?なぜ書斎にいるの?しかも物音一つ立てずに。彼女が来たときも、声一つ聞こえなかったのに。

今、自分は…「赤ちゃん」という言葉を口にしてしまったんじゃ…?

そしてあろうことか佐藤和也がちょうどその瞬間に入ってきた。彼は重要な言葉を聞いてしまったの?それとも…

高橋桜は雪のように青ざめた顔で、動揺しながら佐藤和也を見つめ、唇を固く結んで冷静を装うことしかできなかった。

佐藤和也も彼女が書斎に来るとは思っていなかった。

彼女が自分を見て幽霊でも見たような表情をし...

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