第8章

その瞬間、高橋桜の心が震え、目に一瞬の動揺が走った。

まるで現行犯で捕まったような感覚だった。

しかし彼女はすぐに冷静さを取り戻し、少し青ざめた唇を引き締めて、隠そうともせずに言った。

「もう見たでしょう?」

彼女の潔い態度に、佐藤和也の目に宿った探るような色が薄れた。

彼は近づいてきて、彼女の手にある空になった薬の器をじっと見つめた。

「苦労して煎じた薬を、そのまま一口も飲まずに全部捨てるのか?」

高橋桜は彼に一瞥をくれた。

「最初から飲まないって言ったでしょう」

そう言うと、彼女は空の器を持って部屋を出た。

佐藤和也は彼女を追いかけ、冴えた声で言った。

「昨日の夜、...

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