第91章

高橋桜は何も言わなかった。

山本双葉は彼女が長く応答しないのを聞いて、ため息をついた。

「あなたが彼女に対してフィルターかけてるのはわかるよ。彼女があなたを助けてくれたから、ずっとそれに縛られてるんだよね。でもさ、考えてみてよ、彼女はあなたに対しても何か目的があったんだよ。確かに、彼女はあなたを助けてくれた、うん、その恩は忘れないわ。いつか機会があれば返せばいいじゃない。でも正直言って、彼女が過去にあなたを助けたからって、今あなたを傷つけないとは限らないでしょ」

「うん、わかった」高橋桜は頷いた。

山本双葉は彼女の気持ちが沈んでいるのに気づき、提案した。

「今夜うち...

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