第1章

軍の輸送機のドアがスライドして開くと、アラスカの風がカミソリのように私の顔を切りつけた。

氷点下三十五度――この神に見捨てられた地獄は、記憶にあるとおり、相変わらず過酷だった。

だけど、そんなことはどうでもよかった。

この十年、姉に会えたのは二年に一度だけ。彼女は私のたった一人の家族だった。

沈みゆく夕陽に、滑走路のまだらな氷がキラキラと輝く。私は目を細め、見慣れたそのシルエットを探した。

マディソンはいつも一番乗りで、あの温かい笑顔で私を家に連れ帰ってくれるのを待っていてくれた。でも今日、そこに立っていたのは見知らぬ男だけで、私の視線から逃げるように目をそらした。

「ブラックさんですか?」男は一歩前に出た。声が上ずっている。

私は彼を無視して、あたりを見回し続けた。「マディソンはどこ?どうして来てないの?」

「彼女は……研究所で待っています。仕事が立て込んでいて――研究ですよ、ご存じでしょう」

馬鹿げてる。

この十年、マディソンが私の迎えを欠かしたことは一度もなかった。吹雪の時でさえ、どんなに重要な実験の最中でも。それが私たちの約束だった。

私は運転手を観察した。動きがぎこちない――長年うちの運転手をしてくれているトムでは絶対にない。ハンドルを握る手はかすかに震え、しきりにバックミラーを確認している。

恐怖。それが波のように彼から伝わってきた。

「あなた、誰?」と私は尋ねた。

「基地の新しい運転手です。トムは……病欠で」

また嘘。

十年も精神科病棟にいたかもしれないけれど、嘘を見抜く勘はまだ完璧に働いていた。この男は真っ赤な嘘をついている。しかも、ひどく下手くそだ。

オーロラ・ベイを走り抜けるうち、通りの閑散とした様子が目に付いた。普段ならこの時間、住民が私道の雪かきをしたり、子供たちが雪合戦をしたりしているはずなのに。今日に限っては、まるでゴーストタウンのようだった。

さらに奇妙なことに――ほとんどすべての窓から誰かが見ていた。でも、私がそちらに視線を向けると、その姿はすっと消えてしまうのだ。

研究所の本館は薄暗く、廊下には人影ひとつない。静寂を破るのは、ささやくような警告音にも似た、機材の低い唸りだけだった。

私はマディソンのオフィスのドアを押し開けた。

そして、私の世界は崩壊した。

グラント――姉の夫――が、金髪の女に抱きついていた。彼女の口紅が彼の襟元にべったりと付き、彼の手はまだ女の腰に置かれたままだった。

ドアの音に、二人はクッキーを盗み食いしているところを見つかった子供のように飛びのいた。

「姉はどこ?」私の声は、地獄さえ凍てつかせそうだった。

グラントはシャツを慌てて直し、罪悪感を顔中に浮かべて言った。「アリソン……座ってくれ。話があるんだ」

金髪の女が私に歩み寄ってきた。その顔には、見せかけの同情が貼りついている。「私はケイトリン・ストーン、軍の連絡員です。もっと良い状況でお会いしたかったのですが」

私は部屋を見渡した。マディソンの物――お気に入りのマグカップ、写真、何年も枯らさずに育てていた多肉植物――が、すべてなくなっている。まるで彼女の存在が消し去られたかのように。

「姉は一体どこにいるのかって聞いてるの!」私の声が壁に跳ね返った。

グラントは私と目を合わせられない。「彼女は……三ヶ月前に姿を消した」

「姿を消した?」血が凍りついた。「それ、一体どういう意味よ?」

「嵐の中、怪我をした狐を助けようとしたんだ。車ごと黒水湖の氷を突き破って……。何週間も捜索したんだが……」彼は首を振り、悲しみに暮れる夫を演じた。

嘘つき。

「アリソン……」

「姉は嵐を怖がってた――嵐の中、外に出るなんて絶対にしない!」拳を握りしめると、指の関節がポキリと鳴った。「それに、妊娠八ヶ月だったのよ!どこにいるの?」

ケイトリンがさらに近づいてくる。その声は、蜂蜜のように甘い毒だった。「アリソン、起きたことを受け入れる必要があります」

何を受け入れろって?姉が消えて、その夫はたった三ヶ月後には浮気三昧で、みんながこんな痛々しい茶番を演じているってことを?

私は背を向けて立ち去ろうとした。グラントが後ろから呼びかける。「アリソン、待ってくれ……」

振り返らなかった。この部屋にいる人間は全員嘘つきだ――あの軍人を装った女も含めて。

だが心の奥底では、彼らが臆病すぎて口にできないことを理解していた。姉はおそらく死んだのだと。

警察署に漂うタバコの臭いは、精神科病棟の消毒液の悪臭を思い出させた。保安官はデスクの後ろに座り、私が姉の殺害を捜査するよう要求すると、顔を真っ青にした。

「殺人事件を報告しに来たの!」

「アリソン、君が悲しんでいるのはわかるが、あれは事故だった。議論の余地はない」彼はフォルダを開いた。そこにははっきりと文字が見える。『マディソン・ブラック行方不明――事故死、捜査終了』

終了?遺体すら見つかっていないのに、もう事件を終わらせたっていうの?

「君は精神科の治療から出たばかりだ」保安官は続けた。「もう少し……時間が必要なんじゃないか」

出た。誰かが私を黙らせたいとき、決まって私の病歴を旗のように振りかざす。まるで私の「狂った過去」が現実を消し去れるとでも言うように。

「証拠を見せて」

「大したものはない。横転した車両と血液サンプルだけだ」

血液。心臓が跳ねた。

「どれくらいの量?」

「アリソン……」

「どれくらいの量の血液かって聞いてるの!」

保安官は重々しく息を吐いた。「彼女が助からなかったであろうことを示すには十分な量だ」

私は彼を睨みつけた――そして、あの運転手に見えたのと同じ恐怖を、彼の目にも見つけた。この町の人間は皆、何かに怯えている。警官に至るまで、全員がこの隠蔽工作に加担しているのだ。

でも、何を隠している?マディソンは一体何を発見して、妊娠中の女性を殺される羽目になったの?

ブラック家の屋敷に戻ると、まるで侵入者のような気分だった。ここはかつてマディソンと私の家だったのに、今は見知らぬ者たちの匂いが染みついている。

誰かが私の昔の寝室を探った形跡があった。

その兆候はごくわずかだったが、見間違えようがなかった。本棚の本が微妙に並べ替えられ、引き出しの中の物が数ミリずれている。彼らは何を探している?

月明かりがブラインドの隙間からベッドの上に差し込み、外で動く気配を捉えた。複数の影。彼らは私に見つけられないと思っているだろうが、精神科病棟での十年は、暗闇の中で物を見る術を教えてくれた。

私は常に監視されていた。

なぜ彼らは、精神科病棟を出たばかりの人間をこれほど厳重に監視するのか?まさか……まさか私が知るべきでない何かを暴き出すと恐れているのか。

私のために残されたマディソンの遺品の中から、小さな箱を見つけた。中には、私たちが子供の頃に作った秘密の暗号で書かれた手紙が入っていた。

『アリ、もしこれを読んでいるなら、私の身に何かが起きたということ。彼らは私の赤ちゃんを欲しがっている。怖くてたまらないけど、あなたをこの面倒に巻き込むわけにはいかない。覚えておいて、自分の直感を信じて――誰も信じないで』

私の手は震えた。彼女は知っていた。マディソンは自分が死の標的にされていると知っていたのだ。

最後の一文に、肌が粟立った。

『彼らが狙っているのは私だけじゃない。私の中にいるもの――そして、あなたの中にいるものを狙っている』

手紙を折りたたむと、私の中の何かが完全に死んだ。愛でも、希望でもない――人間性という最後の糸が。

マディソンは十年もの間、私を普通にしよう、善良な人間にしようと努めてくれた。彼女は私に微笑むこと、優しさを示すこと、そして私の中の闇を檻に閉じ込めることを教えてくれた。

だが今、彼女は死んだ。

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