第8章

植川大輔が、ノートパソコンの画面に向かい、動画を編集している。そこには、近藤美咲のインスタグラムのタイムライン、彼女が撮った私の私物の写真、そして、私があっけなく取って代わられたことを示す、動かぬ証拠の数々が並んでいた。

画面に、白いテロップが重なる。

『井上春菜。一週間前、交通事故により死亡。享年二十歳、妊娠中だった』

『こちらは近藤美咲。井上春菜の死から三日後、彼女が働いていたレストランで勤務を開始』

『人の命が、いかに速く、そして容易く取って代わられるか』

植川大輔が作っているのは、私のための追悼であり、弁護であり、そして復讐の刃だった。自分ではもう何もできない、私のた...

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