第113章

結婚して三年、妻に一度も触れたことがないというのに、家で彼女がおもちゃを買っているのを見つけてしまった。

これには流石に言葉も出なかったが、それにしてもあんなに目立つ場所に置いてあるとは、なんとも……

脳裏にあの顔がよぎり、眉をひそめる。その瞳には嫌悪の色が浮かんでいた。

だが、お爺様の手前、この結婚を続けざるを得ない。

藤原光司はすでに気持ちを落ち着かせ、傍らのパソコンを開くと仕事に戻った。

一方、岩崎奈緒は自分が買った美顔器が誤解されているとは知らず、新しい施工チーム探しの悩みと、明日の夜のパーティーのことで頭を悩ませていた。

彼女は携帯を取り出した。以前、藤原光司から教えら...

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