第114章

「岩崎さん、何か落としましたか?」

石川麻衣は少し心配になり、無意識に何か探そうとした。

「いえ、大丈夫です。ただ本が少しめくれていただけなので」

それを聞いて、石川麻衣はほっと息をつき、スープを煮込みに戻っていった。

岩崎奈緒は例のギフトボックスを手に取って一瞥し、蓋を開けると、中にはブレスレットが入っていた。とても精巧な翡翠のブレスレットだ。

藤原おじいさんからの贈り物なのだから、きっと高価なものに違いない。

礼儀として、岩崎奈緒はスマートフォンを取り出し、急いで藤原おじいさんに電話をかけた。

電話がつながるとすぐに、向こうからお爺さんの咳き込む声が聞こえてきた。

「奈緒...

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