第115章

藤原美咲の口調はそう言ううちに沈んでいき、ユキを見つめる眼差しは一層愛おしさに満ちていた。

「ユキはあの子犬にそっくりね。本当にかわいい。ペニー、お家はどこ?またユキと遊びに来てもいいかしら」

藤原美咲は言い終えると、彼女の背後に目をやった。この道が続いているのは別荘地のようだ。しかも、K市でも比較的高級な別荘地である。

この一帯は、土地の値段が非常に高いという言葉だけでは言い表せない。最初に分譲が開始されたとき、最高の立地にある別荘数軒はほとんど内々に押さえられていたという。ペニーがここから出てきたということは、家柄も相当なものだろう。

岩崎奈緒はその考えを察し、慌てて説明した。

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