第118章

石川麻衣が氷を持ってきてくれ、一時間ほど冷やしたが、腫れた箇所はまだズキズキと痛んだ。特にハイヒールに足を入れると、その部分の皮膚が何本もの針で刺されているかのようだった。

額にすぐさま冷や汗が滲み、岩崎奈緒は無理に我慢しながら化粧を続けた。

石川麻衣はその様子を見て、少し不憫に思った。

「岩崎さん、お爺さんに電話しましょうか。また別の日に改めて伺うことにしては」

「だめ」

今回の宴会は、主に藤原おじいさんの厄払いのために開かれるものだ。お年寄りはこれほど自分に良くしてくれているし、以前には空港への出迎えをすっぽかしてしまった。今夜のような大切な場で、絶対にしくじるわけにはいかない...

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