第120章

岩崎奈緒は驚き、藤原光司の目に一瞬、獰猛な光が宿ったかと思うと、次の瞬間には彼が脚を振り上げて相手を蹴り飛ばしていた。

チンピラたちは今夜、とんでもない相手に手を出してしまったと悟り、それ以上留まろうとはせず、地面から這い上がると、互いに肩を貸し合いながら惨めに立ち去っていった。

「藤原社長!病院へ」

岩崎奈緒は藤原光司の手を握りしめたが、その指先は微かに震えていた。

しかし、ハイヒールを履いていては動きにくく、脚の痛みも一層ひどくなる。

藤原光司は眉をひそめた。負傷したのは右手で、何かと不便だろう。

彼は岩崎奈緒がハイヒールを脱ぎ捨て、素足で地面に立つのを目にした。その顔には、...

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