第125章

「あの道で藤原社長をお見かけしたので、きっとあちらにもお家をお持ちなのだろうと推測いたしました」

ユキの散歩中に藤原光司と出会ったことが幸いしたと、彼女は思った。

その言葉を聞いて、藤原光司は岩崎奈緒が足を怪我していたことを思い出した。だが、先ほどの病院では手当をしていなかったように思う。

ここまで来る間、少しもおかしな様子を見せなかった。無理をしているのだろうか?

岩崎奈緒は確かに無理をしていた。この足ではアクセルを踏むだけで、心臓を抉られるような痛みが走る。

しかし、藤原光司にあれほどの大怪我をさせてしまい、今夜のパーティーまで台無しにしてしまったのだ。せめて彼のために何かをし...

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