第129章

温水聡は脚本家であり、些細な事柄から発想を広げるのが最も得意だった。

しかし、今夜の彼の推測は実に見事だった。藤原光司と岩崎奈緒は、確かに同じ部屋にいた。

ベッドを共にしたわけではないが、藤原光司にとっては、それだけでもすでに例外的なことだ。

ましてや、部屋に戻った彼が目にしたのは、首元から肌を大きく覗かせた岩崎奈緒の姿だった。

どんな女性でも、男物の服を身に纏うと、どこか特別な色香が漂うものだ。

ましてや、漆黒の夜は艶めかしさを最も育む。

藤原光司は眉をひそめ、そのまま主寝室へと入っていった。

先ほど浴びたシャワーはどこか間違っていたようだ。冷水を浴びるべきだったのだ。

同...

ログインして続きを読む