第131章

藤原光司は手に包帯を巻いており、藤原グループへ出社した途端、萩原彩花に出くわした。

萩原彩花は以前のように好き勝手な振る舞いはできず、ただ彼の手に心配そうな視線を送るだけだった。

「……藤原社長、その手はどうされたんですか」

藤原光司は眉をひそめ、「怪我をした」と素っ気なく一言だけ返した。

それ以上何も言わず、オフィスへと入っていく。

萩原彩花の顔色が曇った。ちょうどその時、受付の者が訪ねてきて、オフィスのドアをノックし、中に入ろうとした。

萩原彩花は慌ててその者を制止する。

「あなたは役員でもないのに、アポは取ってあるの?勝手に入ろうだなんて」

受付の女性はなかなかの美人だ...

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