第152章

岩崎奈緒は以前、岩崎陽菜が自分に向ける態度に戸惑っていた。仲が良いと言えば、いつも岩崎雄大の前で何かと口出ししてくるように思えたからだ。

何気なくいくつかの事を持ち出しては、岩崎雄大を自分に対して怒らせる。

しかし、二人の仲が悪いかと言えば、岩崎陽菜はいつも親しげに「お姉さん」と呼びかけ、まるで本当の姉妹のように情が深いかのようだった。

鈴木蘭の嫌悪はあからさまだったが、岩崎陽菜の自分への思いは、深く隠されていた。

今、岩崎奈緒はようやく理解した。岩崎陽菜が自分を好きなはずがない。なぜなら、自分が藤原光司の妻という地位を独占しているからだ。

これまでの様々な出来事を思い返せば、なぜ...

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