第157章

岩崎奈緒が初めて林田雅に会った時、彼女がとても教養のある人で、話し方もいつも穏やかで優しいことは分かっていた。

林田景は自分の母親を恐竜だと言っていたが、岩崎奈緒は心から羨ましく思っていた。母を除けば、林田雅は彼女が今まで会った中で最も気品のある女性だったからだ。

先ほどあんな出来事を経験し、その上病院で今まで一人で過ごしていた彼女の心の防御線は、実のところ既にもろくなっていた。

昨夜の湿った夜、頬は痛み、薬のせいで体も不快だった。

夢の中で、彼女は母に会った。

しかし、その夢はあまりにも短かった。母が亡くなって何年も経ち、母親の温もりがどんな感覚だったか、とうに忘れてしまっていた...

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