第165章

萩原彩花はどうしても納得がいかなかった。従姉との関係は良好で、その従姉の口利きで藤原グループに入社してからは、従姉と藤原光司の関係のおかげで、藤原グループ内での立ち回りも順風満帆だった。

しかし、この岩崎奈緒が現れてからというもの、まず藤原光司に説教され、二度と面と向かって義兄とは呼べなくなった。その後も一度、きつく叱られている。

藤原光司は、今まで一度も自分にこんな態度をとったことはなかった。

萩原彩花は思わず目を潤ませる。大げさに告げ口をしなくても、その哀れを誘う様子だけで、誰もが岩崎奈緒を疑うには十分だった。

彼女が岩崎奈緒の言葉に応えなかったため、雰囲気は一瞬にして微妙なもの...

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