第170章

「俺のことに構うなよ。あれは俺の親父とお袋だ、あんたのじゃないだろ。それに、あんたんちだって問題山積みじゃないか。うるさいな、もう行くから」

「ええ、行きなさい。もう警察には通報したわ。あなたが行けば、あの女は刑務所行きよ」

林田南の足がぴたりと止まり、顔が歪んだ。

岩崎奈緒の態度は断固としていた。「人を寄越してあなたを送り返させるわ。それに、すぐ叔父さんと叔母さんに連絡して迎えに来てもらうから」

「お前っ!」

林田南はそう叫んだ後、急に語気を弱めた。

「俺のことは放っておいてくれよ。外で飢え死にした方がマシだ。あんな家には帰りたくない」

藤原光司の車の窓は開いていた。前回、岩...

ログインして続きを読む