第175章

「林田さん、大丈夫ですか」

林田雅は頭から血を流しており、意識も少し朦朧としていた。前席の運転手に至っては、気絶している。

追突された側であるため、彼女たちのほうが岩崎奈緒よりも状況は深刻だった。

辺りは騒然とし、交通整理の警官も駆け寄ってくる。

林田雅は痛む頭を手で押さえながら、相手が岩崎奈緒だと気づくと、すぐに事故の責任を追及するようなことはしなかった。

「ペニー、大丈夫?怪我はない?」

岩崎奈緒は途端に申し訳ない気持ちになり、慌てて彼女を車から降ろして支えた。

「私は大丈夫です。すみません、今すぐ救急に電話します」

前席の運転手も警官によって車から引きずり出された。幸い...

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