第183章

道村雪はどこか悔しげで、不服そうな様子だった。

「おばさん、さっき言ったことは全部本当よ。ペニーは藤原社長と……」

言葉が終わる前に、林田雅に遮られた。

「光司のことは彼自身の選択です。私に言っても無駄。私はただの年長者で、彼の私生活に口出しするつもりはありません」

その口調は冷たく、言葉を紡ぐ間、彼女の視線は再び岩崎奈緒に向けられた。

岩崎奈緒に光司を手懐けるほどの腕があるとは、にわかには信じがたい。

光司が家にいる相手を好いていないとしても、外で女遊びをするような男ではないはずだ。

だが、病院で二度も偶然会った時の、あの悔しさと意地が入り混じったような姿を思い出すと、自分自...

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