第188章

松岡和人もその話はそれ以上掘り下げず、むしろ彼が口にした仕事のほうが気になった。

六十万?

時々顔を見せるだけでいい?

彼はごくりと唾を飲み込んだ。実のところ、彼自身もどこかの金持ちの令嬢を見つけたいと思っていたのだが、いかんせん顔が森野牧には及ばない。

金持ちのおば様方が、彼のような男を相手にするはずもなかった。

「牧、本当にそんなうまい話があるのか?」

森野牧は階段に腰を下ろし、長い脚を伸ばして後ろに寄りかかり、伸びやかな姿勢を見せた。

その容姿は確かに絶品で、男である松岡和人でさえ嫉妬で目が熱くなるほどだ。ダイヤモンド会社のお姫様を射止められたのも無理はない。

しかも谷...

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