第189章

岩崎奈緒の仕事は順調に進んでおり、サプライヤーとの打ち合わせも終え、明日にはZ郡へ出発しようと準備をしていた矢先、突然数社の取引先から電話がかかってきた。その口ぶりは、歯切れの悪いものだった。

「岩崎さん、申し訳ありません。急な通達がありまして、あなたの注文はお受けできなくなりました。他を当たってください」

「それは……」

岩崎奈緒が詳しく尋ねようとしたが、相手は電話を切ってしまった。

立て続けに四本の電話を受け、そのすべてが注文のキャンセルだった。

岩崎奈緒はその場に座り込み、眉をひそめた。

以前は森野昇が横槍を入れてきたせいで千堂正幸との提携話が流れてしまった。今も千堂正幸は...

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