第198章

岩崎奈緒は、岩崎雄大が藤原おじいさんにまで電話をかけていたとは露知らず、ただただ心が疲弊していくのを感じていた。

その上、あの晩に藤原光司が岩崎家を訪れ、威圧的な態度を取ったと聞き、今やこの名ばかりの妻に対して、嫌悪感はさらに増していることだろう。

父はいつもそうだ。娘である自分が恥ずかしくなるようなことばかりする。

しかし、ここで父への不満を口にすれば、目の前の岩崎陽菜を喜ばせるだけだということは、岩崎奈緒にはよくわかっていた。

「ええ、わかったわ」

彼女は岩崎陽菜の横を通り過ぎ、その場を去ろうとした。

岩崎陽菜は全身を硬直させ、信じられないといった様子で彼女の反応を見つめた。...

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