第199章

岩崎奈緒は慌ててティッシュを引き抜き、こぼれた牛乳を拭き取った。

「申し訳ありません、藤原社長」

「うん」

藤原光司は視線をそらした。

岩崎奈緒は自分で牛乳の後始末を終え、ふと顔を上げた時、彼のズボンにも数滴飛び散っていることに気づいた。そのままティッシュを数枚引き抜き、拭きに向かう。

書類を動かそうとしたところ、突然、太腿に白く細い手が伸びてきた。

藤原光司は全身を硬直させ、反射的に彼女の手首を掴んだ。

気まずい場所というわけではないが、ここは彼の太腿だ。

岩崎奈緒は顔を上げ、少し不思議そうに彼を見た。

藤原光司は彼女の手を離した。

「食事だ」

岩崎奈緒は仕方なく手を...

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