第204章

岩崎奈緒はそのメッセージを受け取った時、ただ胸に痛みが走るのを感じた。

彼女は冷笑を浮かべる。岩崎陽菜がこれほどまでにあからさまなのも無理はない。お父さんが裏で支えていたのだ。

二日後。

岩崎陽菜は諦めきれず、藤原光司の泊まるホテルの部屋の前で待ち続けていた。昨日、藤原光司は一日中部屋から出てこず、出入りしていたのは彼のアシスタントばかりだった。

岩崎陽菜は今日、早朝からここで待機していた。月曜日なのだから、藤原光司は必ず会社へ行くために外出するはずだと考えたからだ。

案の定、七時を少し過ぎた頃、黒いスーツに身を包んだ藤原光司が、井上進を後ろに従えてプレジデンシャルスイートから出て...

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