第213章

扉を開けると、床に倒れている鈴木蘭の姿が目に入った。

「あなた!」

彼はそう叫ぶと、急いで駆け寄り鈴木蘭を抱き起こした。

一方、階上では鈴木蘭が倒れたと聞いて岩崎陽菜が駆け下りてきた。この光景を目の当たりにし、恐怖に凍りついたのか、顔面蒼白で立ち尽くし、全身を震わせている。

岩崎雄大は一瞬にしててんてこまいになり、八重樫舜がまだ傍に突っ立っているのを見て怒鳴りつけた。

「早く救急に電話しろ!俺と一緒に病院に運ぶんだ!」

「しかし、株式譲渡の件が……」

「今はそれどころじゃないだろう!?その話は後だ!」

八重樫舜の目に一筋の笑みが浮かび、口角が密かに吊り上がった。彼はすぐさま駆...

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