第215章

藤原光司は深く息を吸い込んだ。その角張った顔立ちは、冷たい怒気に満ちている。

石川麻衣は二人がどちらも一筋縄ではいかないと察し、ほとんどおどおどしながら後をついていった。

「お爺様、岩崎さんは熱を出していまして、薬を飲んで先ほどお休みになりました」

その言葉が終わるや否や、藤原お爺様は彼女に岩崎奈緒の部屋のドアを開けるよう命じた。

石川麻衣は開けるしかなく、恭しく傍らに控えた。

お爺様は藤原光司を睨みつけた。「まだ入って様子を見ないのか?前にわしに言っていた努力とやらは、わしを騙すための嘘だったのか?」

藤原光司の眉間がぴくりと跳ねる。今日、お爺様が突然誰からの電話を受けたのか、...

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