第217章

夜も更けた頃、岩崎奈緒は点滴が空になったのを確認し、針を抜いた。

しかし、身を起こしたその時、藤原光司が目を覚まし、彼女を見つめていた。

「藤原社長、お目覚めですか?」

藤原光司は少し声が嗄れており、天井を見上げると、手で眉間を揉んだ。

「病院か?」

「はい、藤原社長は熱を出しておられました」

「なぜここにいる?」

「身内もこちらに入院しておりまして、偶然お見かけしました。もうお加減はよろしいですか?」

藤原光司は背中に酷い痛みを感じたが、あの薬の効果は消え、体が火照って耐え難い感覚はなくなっていた。

彼は微かに安堵のため息をつくと、今回の祖父の企みを思い出し、顔が完全に険...

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