第226章

藤原光司は腕を引き抜き、遠山良太に頷いた。

「遠山おじさん、ご無沙汰しております」

遠山良太はすでに立ち上がっており、笑いながら彼の肩を叩いた。

「君って子は、三年間も黙ってどこかへ行ってしまうんだから」

どうやら藤原光司は三年前、あの結婚を強いられて国を出てから、一度もここへは来ていなかったようだ。

岩崎奈緒はとっさに藤原家と遠山良太の関係が思い浮かばなかった。おそらく遠山良太は藤原おじいさんと知り合いで、その繋がりで藤原光司も彼を叔父さんと呼んでいるのだろう。

遠山梨花が横から口を挟んだ。

「私だって逃げるわよ。まったく知らない女の人と結婚するなんて、お爺さんは何を考えてた...

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