第231章

ふと我に返ると、部屋の中にはもう藤原光司の姿はなかった。

岩崎奈緒はそこでようやく、ソファから転げ落ちそうになるほど驚き、顔色を変えた。

藤原光司は一体何を?

薄着だったから?雰囲気が良かったから、それで一瞬、理性を失ってしまったの?

遅れて眉をひそめ、羽のように耳たぶから首筋へと落とされたキスの感触を思い出すと、全身がカッと熱くなった。

立ち上がろうとしたが、まだ足に力が入らない。岩崎奈緒は手探りでバスルームまで行くと、自分は首まで赤くなっているのが見えた。

一体どういうことなの?

彼女は冷たい水で顔を洗い、無理やり意識をはっきりさせようとした。

だが、冷たい水が顔にかかっ...

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