第233章

岩崎奈緒はなんだか腑に落ちなかった。彼に何か気に障るようなことをした覚えはないのだが……。

後を追って車に乗り込むと、藤原光司はすでに書類に目を通していた。昨日とは違う、グレーのスーツを身にまとっている。それもまた彼によく似合っており、まさに生まれながらのモデル体型のようだ。

陽光が彼の眉尻に一筋差し込み、高貴で、どこか近寄りがたい雰囲気を醸し出している。

岩崎奈緒は乗り込むと、車のドアを閉めた。

外から遠山梨花の声が聞こえ、すぐに彼女は鞄を肩にかけ、車内へと割り込んできた。

「藤原光司、私も学校に行くの。ちょうど通り道だし、乗せていってよ」

藤原光司は書類から顔を上げ、顎をわず...

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