第241章

林田南はさらに信じられないという顔をしていた。

茅野梓は冷笑を浮かべる。

「忘れたの?帰ってきた最初の晩、あなたは酔っていて、私たち、寝たじゃない。もし私のお腹の子が男の子だったら、あなたたちの家の損失は大きくなるわよ」

林田南はその夜のことを確かに覚えており、この時になって迷いが生じてきた。

もし茅野梓と離婚すれば、今後嫁を見つけることなどできず、ましてや子供を産んでくれる者など現れないだろう。林田家は跡継ぎが絶えてしまうかもしれない。

今、茅野梓が妊娠している。すぐにでも子供が手に入るのだから、両親への面目も立つ。

親不孝に三つあり、後継ぎなきを大と為す、だ。

岩崎奈緒は林...

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